105 ユネスコ会議 カトマンズ

  • 2010.07.14 Wednesday
  • 18:16

国連会議79



ときどき、国連やユネスコから会議やシンポジウムに参加要請を受ける。79年にはその会場はネパールのカトマンズだという。僕はインドへは行ったが、それに誰が僕を推薦したのか、まったくわからない。あるいは、パリにいて、ユネスコに関係しているラシードあたりかもしれない、あるいはインドのラーマンかもしれない。と云うよりも僕の名がユネスコの要員リストに載せられているのかもしれない。



僕の親しい東京工大の山田圭一は山岳家、あるいは山岳写真家としても知られるので、聞いてみたら、カトマンズの日本人を紹介してくれた。行きの飛行機から外を眺めると、塔のような山地で農業をやっている。耕して山巓にいたる、貧の証なり、と云った李鴻章の日本観どころのさわぎではないな、と感じた。日本でKJ法の川喜田二郎さんがやっていた潅漑法もここだな、と思い起こされた。



カトマンズでのガイドの人から適切なアドヴァイスを受け、どこからの観光客が多いですか?と聞くと、それぞれの国で休暇の季節期日が決まっていて、日本人なら夏のほかに正月休みにも来るそうだ。



ネパールへ行けば、誰しもエヴェレストのよく見えるところまで行きたいだろう。そのための飛行機が出ている。海抜5千メートルくらいの基地まで行くらしい。先客の日本人のアマテュア絵描きグループがいて聞いてみると、高山病でずっと不愉快で、行くものではない、とまで云う。それでも折角だからと100ドル払って飛行機に乗った。そろそろ不愉快な基地に近づいて、覚悟していたら、気流が悪いという理由で飛行機が引き返した。カトマンズに帰ると、飛行士が100ドルを還してくれた。僕にとってはちょうどいい体験だった。





さて、会議である。この街は最近電力需要ががすすんだようで、夕方に電灯がつく頃には、必ずしばし停電となり、そのために早めに会議をやめることにしている。



ゼミは「科学技術と社会」の問題ということであった。マリオ・ブンゲと云う科学哲学者が主催し、自説を述べた。それはまあ、科学啓蒙主義の流れの中にあるのだろうが、要するに第三世界も近代科学のノルムに従い、受け入れよ、という。僕は聞いていて、たいくつでやりきれなくなって、たまりかねて、言葉を挟んだ。「あなたの云うことは、大筋において誰も当たり前のこととして受け入れる。ただ、それはもういいのだが、現在の科学界が抱える最先端の問題、科学の巨大化とか軍事化とか、の社会問題が我々の関心を持つテーマだ。」という旨のことを口を挟んだ。すると、ブンゲ氏は、僕のことを反科学の代表のように見なして、非難する。僕は、馬鹿馬鹿しくなって、会場を出て、近郊の村を散歩した。窓にはめ込む、繊細な木彫の編み目の見事さに感心し、結構高い伝統技術文化の水準があるのだな、と思った。



外から帰ったら、僕と接触を求めてきていた韓国の哲学者でアメリカで学位を取った若手が、僕の留守の間に何が起こったかを報告してくれた。会場の科学論者たちとブンゲ氏との意見がかみ合わず、ブンゲ氏はイライラが昂じて、会議が壊れてしまった、という。散会になっていた。





この会議にはユネスコはじめ国連ファミリーと称する多くの役人が聴衆として参加する。会議のメンバーよりも何倍もいる。ああ、これは国連ファミリーの人たちの教育のためのものか、と思ったくらいである。彼らユネスコ官僚の多くは、バルカン諸国とかの出身で、語学には長けている。そして最後に次の会議へのレコメンデーションを起草して集会になる。その起草では、さらに会議が必要だ、と云うことを述べて、次の会議の題名に新しい言葉を付け加える。学会の報告でもなく、何か会議のための会議をやっているような感じ。次の年にはジャマイカで会議が行われた。その時はブンゲ氏はいなくて、知っている科学論者が多くて楽しかった。それからさらに85年にはまたユネスコ会議でギリシャで行われるのに参加した。その時は題名がだんだん長くなっていて、UNESCO International Seminar, Study of recent development in the relationship between Science, Technology and Society in different economic, social and cultural contexts, Athens となって、なかなか覚えきれないような長いタイトルになってしまった。あまり行けないところへ行けて、楽しかったが、さすがに内容に疑問が出てきて、以後はもう僕は参加しなくなった。


コメント
とても魅力的な記事でした。 また遊びに来ます!!
コメントする








    

selected entries

recent comment

profile

search this site.

calendar

S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< May 2019 >>

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM