182 英語論文集

  • 2011.01.04 Tuesday
  • 14:55

09 英語論文集



僕に英語論文集を出さないか、と進めてくれた人がいる。ドイツ、マールブルク大学教授のエリッヒ・パウアー氏である。彼が編集一切を引き受けるという。彼は日本の鉱山史をやっている人で、僕の論文も日本関係のものを集めて本にするつもりであった。



ところが、それ以外の事でも少し論文集に載せておきたいものがある。実は僕には”The Future of Rersearch---A Call for a ‘Service Science’” と云う論文があって、かつては多少引用されていたが、もう忘れられてしまったものと思っていた。ところが論文集の編集中に北欧でこの論文をすっかり引用して、我々が行くのはこの方向しかないだろう、と云う科学論を展開しているのが偶然目に留まった。僕はすっかり嬉しくなって、この論文は日本に特に関係はないが、どうでも入れたい、と思うようになった。そこで論文集を組み直すことになり、その経過を多少自分の自伝的、あるいは自分の学問の発展を記述したIntroduction に新しく書いた。



僕が「サーヴィス・サイエンス」を提唱したことは日本でも多少知られる。その骨子は、科学技術者はその評価に従って仕事をするものだが、同僚の評価、ピア・レビユーを求めて仕事をするアカデミック・サイエンス、国家のために行う国公立・軍事研究所のような国の評価に従うpublic scienceのようなもの、企業のように企業の重役会の評価を求めるprivate scienceはあるが、人類のための市民の評価を求めて行う科学はどこにも存在しないではないか。では、そうした市民の評価を求める評価基準をつくれば、科学が違った形のものになる、として、普通の科学技術の発表の仕方とか、色々な面にわたって、これまでの科学活動と違った形態のものを発展させよう、として、それを「サービス科学」と呼んだ。



実はこの論文が出る頃の前までは、僕はいわば科学史を科学の応援団のつもりで、啓蒙主義史観にしたがって書いていたものだが、その後はもう科学は十分啓蒙された、むしろ以後必要となってくるのは、それを批判する機能だ、として、科学史の論文にもそれが現れるようになったことを、Introductionで論じたのである。



この本の題はThe Orientation of Science and Technology: A Japanese View, (Global Oriental, and Brill 2009) xxi + 390p.とした。このOrientation という題は、日本科学史学会で始めて欧文報告を出版する時、題を募ったが、僕はジョセフ・ニーダムに相談したところ、彼から提案されたもので、彼はそれをずいぶん気に入っていたようであった。その意とするところは、科学の方向付け、さらにそれが西に対して東に望みを掛けると云うニュアンスを込めようとしたものであったが、編集委員会では東アジア関係に関心のある人は少なかったので、にべもなく否定されてしまった。それを僕の本に復活することになったのだが、この本の出版社の社主はニーダムの崇拝者であったので、非常に喜んだ。



さてこの本は当時教えていたUCLAのコースで教科書にするつもりであった。ところが例によって出版は遅れて、結局この本のために用意した論文からリーディングアサインメントに指定することになった。もっともこの本はかなり大きくて、一冊150ドル、学生に買わせると、教科書としては高すぎると文句が出ると云う話だった。



最近の出版事情のこともあって、オリジナルなGlobal Oriental 社は、Brigg社に買い取られて、現在はそこから出ている。


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